健診結果に対する危機感は持っていますか

健康診断

「病気になるまで健康の価値はわからない」という言葉があります。病気になって初めて健康のありがたさを知るといわれていますが、仕事で忙しいほど、自分の健康には無頓着になりがちです。
「ポチャッとしているくらいがちょうどいいんだ」と思って過ごしていると、生活習慣病を見過ごしている可能性があると思ったほうがいいでしょう。
肥満はあらゆる万病もの元です。高血圧や糖尿病、脳卒中、心臓疾患など多くの病気を引き起こすからです。

自分の健康状況を把握できていますか?

企業に勤めている方の場合、年に1度健康診断がありますが、健康診断で出た数値について理解できていますか。
健康診断結果は健康の通信簿みたいなものなので、きちんと理解しておきたいもの。でも、数字の羅列で分かりづらいかもしれませんが、各項目の見方がわかれば、健康づくりに生かせるでしょう。

メタボリックシンドロームの判定基準

腹囲が男性だと85cm以上、女性だと90cm以上+高血圧、高血糖、脂質異常の場合、メタボリックシンドロームと判定されます。メタボリックシンドロームとはお腹の内臓に脂肪がたまり腹囲が大きくなる内蔵型脂肪肥満のことです。
内臓脂肪がたまっていると、生活習慣病を併発しやすくなってしまいます。血糖値や血圧がちょっと高めといった、まだ病気とは診断されない予備群でも、注意しなくてはなりません。
内臓脂肪型肥満を指摘された場合、生活習慣を見直し、改善していくことが生活習慣病の予防につながります。
メタボリックシンドロームは、メタボと省略されて使われ、単に太っている、腹囲が大きいという意味で誤用されているため、正しい意味を理解することが大切です。

血圧検査について

血圧値によって心臓のポンプ機能が正常に働いているか、または高血圧か低血圧か判断します。
30代男性にとって要注意は高血圧です。高血圧と診断されるのは最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上とされていますが、メタボリックシンドロームの基準だと最高血圧が130mmHg以上、最低血圧が85mmHgと低めの数値となっています。
血圧は心臓から出た血液が流れる際、血管の壁にかかる圧力のことです。血圧が高い状態だと動脈硬化を招き、脳卒中や心臓病、腎臓病を招きます。

血液検査について

血液検査は、採決をして身体の異常の有無や程度を調べるための検査です。血液の中には細胞や抗体などさまざまな物質が含まれています。
身体に何か異常がある場合、血液中の物質数が増えたり、減ったりするため、項目ごとに基準値と照らし合わせ、病気の診断や発症リスクを調べるために行うものです。
検査そのものはすぐに終わりますが、肝臓や腎臓の病気、糖尿病、脂質異常症、貧血、血液の病気など多くのことが分かります。

肝臓系検査

総たんぱく(基準値:6.5~7.9g/dL)

血液中の総たんぱくの量を表します。数値が低い場合、栄養失調、ネフローゼ症候群、がんなど、数値が高い場合、多発性骨髄腫、慢性炎症が疑われます。

アルブミン(基準値:3.9g/dL以上)

血液たんぱくのうちで最も多く含まれるのがアルブミンです。肝臓で合成され、数値が低いと低栄養や肝機能障害、ネフローゼ症候群が疑われます。

AST(GOT)とALT(GPT)(基準値:30U/L以下)

AST(GOT)は心臓、筋肉、肝臓に多く存在する酵素です。ALT(GPT)は肝臓に多く存在する酵素です。
ALTだけ高い場合、もしくはどちらも高い場合、脂肪肝や肝炎、肝臓がんなどの病気を疑います。ASTだけ高い場合、肝臓や心臓の病気を疑います。

γ-GTP(基準値:50U/L以下)

肝臓や胆道に以上があると数値が上昇します。数値が高いとアルコール性肝障害、慢性肝炎などが疑われます。

腎臓系検査

クレアチニン(基準値:男性1.00mg/dL以下)

アミノ酸の一種であるクレアチンが代謝された後の老廃物です。筋肉量が多いほどその量も多くなるため、男女差があります。
腎臓でろ過された後、尿として排出されることから、腎機能が低下していると数値が高くなります。

尿酸(基準値:2.1~7.0mg/dL)

たんぱく質の一種であるプリン体が代謝された後にできたものです。尿酸が増えると尿酸塩という結晶になり、足の付け根などの関節に付着すると通風を引き起こします。
また、尿路結石も作られやすくなります。

脂質系検査

総コレステロール(基準値:140~199mg/dL)

血液中に含まれるコレストロールはホルモンや細胞膜を作るうえで必要なものですが、増えすぎると動脈硬化が進み、心筋梗塞につながります。
数値が高いと動脈硬化、脂質代謝異常、甲状腺機能低下症などが疑われます。

中性脂肪(基準値:30~149mg/dL)

体脂肪の大部分を占める大切なエネルギー源です。増えすぎると皮下脂肪や肝臓に蓄えられ、肥満や脂肪肝を招いてしまいます。

HDLコレストロール(基準値:40mg/dL以上)

善玉コレストロールと呼ばれるものです。HDLコレストロールが少ないと動脈硬化や脂質異常症、糖尿病などのリスクがあります。

LDLコレストロール(基準値:60~119mg/dL)

悪玉コレステロールと呼ばれるものです。LDLコレストロールの数値が高いと動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高まります。
一方、数値が低いと脂質異常症の恐れがあり、栄養障害や肝硬変、甲状腺機能亢進症などが疑われます。

糖代謝系検査

空腹時血糖値(基準値:99mg/dL以下)

血液中のブドウ糖がエネルギー源として利用されているかを検査します。測定された数値が高い場合、糖尿病、すい臓がん、ホルモン以上が疑われます。

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)(基準値:5.5%以下)

血液中のヘモグロビンとブドウ糖が結合してできた物質のことで、過去1~2カ月の血糖の平均値が分かります。

健康診断で異常が出たら

健康診断の結果は異常なしが望ましいですが、中には「要経過観察・要再検査」「要精密検査」「要治療」などと判断されるかもしれません。
どれも注意が必要ですが、適切な対処は異なります。それぞれの意味を知り、相応の対応を覚えておきましょう。

要経過観察

生活習慣病やその予備群が疑われます。症状の進行や変化がないか一定期間ごとに医療機関で経過を見ることが大切です。生活習慣を見直して改善を図りましょう。

要再検査・要精密検査

病気の疑いがあるため、指示に従い健診結果をもって医療機関を受診しましょう。

要治療

病気の疑いが強いため、健診結果をもって早急に医療機関を受診しましょう。

健康診断は、健康状態を知るための大きな物差しです。しかし、健康診断の数値だけだと漠然としたイメージで把握できないのかもしれません。
数値が悪いことは問題だと思っているものの、いざ自分が病気にならないとわからないというのが現状です。多くの場合、肥満によるものなので、病気のリスクを回避するための自己投資をしたほうがいいでしょう。

生活習慣病の予防と改善

生活習慣病はさまざまな病気の発症に関与しています。生活習慣病と診断されても、自覚症状がないため放置しがちです。
しかし、生活習慣病を放置していると将来の病気リスクが高まります。健康診断で生活習慣病と診断されたら、早めの対処、改善が必要です。

食事の見直し

生活習慣病において食事の見直しは必須です。食事での改善方法とポイントを見ていきましょう。

塩分を摂りすぎない

過剰な塩分の摂りすぎは血圧を上昇させます。身体は塩分濃度を一定に保つため水分をため込みます。そのため血液量が増えて、心臓から送られた血液は高い圧力で全身を巡ります。高血圧の原因です。
そのため、減塩を心がけましょう。今まで濃い味に慣れていると減塩はつらいもの。コツは薬味や香辛料、酸味を利かせることがポイントです。

油を控える

油の摂りすぎは肥満や脂質異常症を誘発します。悪玉コレステロールが増えると血管にたまり、動脈硬化を引き起こしやすくなります。
油がすべて悪いのではなく、身体にもよい油である不飽和脂肪酸と呼ばれる油です。オリーブオイルのオレイン酸や青魚に含まれるDHAやEPAがそうです。
調理方法でも調節できます。揚げたり、焼いたりするのではなく、蒸したり煮たりする、脂身の多い肉は湯通しするなどして調理しましょう。

運動の見直し

運動することで生活習慣病のリスクを抑えることができ、さらに適切な運動は認知症にも効果があるとされています。
運動には無酸素運動と有酸素運動があり、生活習慣病の改善には有酸素運動が有効です。有酸素運動は脂肪を燃料とするため、体脂肪率を減少させ、肥満解消の効果があります。
しかし、運動することでリスクが下がるとはいっても、体力に見合わない運動をしてしまうとケガをしてしまっては意味がありません。ウォーキングのように時間、場所問わず安全にできる運動から始めましょう。

たばこの見直し

喫煙者の割合は年々減少していますが、日本国内の男性27.1%、女性7.6%が喫煙者です。喫煙者はがんや心臓病、脳卒中、肺気腫、喘息など、特定の疾病の罹患率や死亡率が高いことは、多くの疾学研究で指摘されています。
国立がん研究センターでは、禁煙から10年が経過すると、喫煙者に比べて肺がんのリスクが半減し、口腔、咽頭、食道、膀胱、頸部、すい臓がんのリスクが低下すると発表しています。
喫煙が生活習慣病との因果関係が強いということは知っておきましょう。禁煙することが一番の対策です。

飲酒

飲酒は適量であれば血液の流れを良くして動脈硬化の予防にも役立つとされていますが、飲み過ぎは生活習慣病の原因になります。
過度な飲酒は中性脂肪の増加、高血圧、糖尿病の原因になり、アルコール中毒や肝硬変、肝がんへと進行する危険性があります。
飲酒する場合は適量を守ることが大切です。厚生労働省は1日約20gと示しています。