82歳の日本人アプリ開発者
82歳で現役iOS開発を続けるプログラマ若宮正子さん
2017年6月にアメリカ・カリフォルニア州で開催された世界開発者会議「WWDC2017」において、日本から招待を受けたプログラムの一人に若宮正子氏がいました。
若宮正子氏は招待時82歳であり、オーストラリア出身の10歳のプログラマーであるユマ・ソエリアントさんとともに最年長・最年少の開発者として紹介されました。
この二人がWWDCに招待されたということはかなり以前より世界中に報道をされており、主催者であるAppleもサプライズゲストとして他の開発者とは異なるスペシャルな扱いをしていました。
まず若宮正子氏の略歴から紹介をしていくと、若宮さんは1935年生まれの女性で1954年に高等学校を卒業した後、東京三菱銀行の前身である三菱銀行に入社しています。
その後1997年に定年を迎えるまで関連会社への異動などありながらもずっと同社に勤務をしました。
なお現職中にはパソコンを扱った業務は全く行って来なかったそうです。
退職をしたあとは認知症を患っていた実母の介護をするために家に入り、ずっとつききりの生活をする毎日を送っていたそうです。
その時に少しでも外界と繋がるために始めたのがパソコンで、少しずつチャットやインターネット通信といったものを使えるようになります。
もともとひどい機械音痴であったそうですが、世界とのつながりの可能性を感じたことで熱心に勉強するようになります。
2001年にはシニア向けの掲示板である「メロウ倶楽部」というサイトを立ち上げており、高齢世代を迎えている人同士で会話ができる場所を作りました。
2016年に初の開発アプリ「hinadan」をリリース
若宮さんが初めてスマホ向けアプリを開発したのは2016年からのことで、「hinadan」という画面に現れる雛人形を正しい位置に並べるというゲームアプリでした。
これがAppStoreの審査に通ったことで、81歳の女性が作ったアプリとして一気に有名になりました。
そもそも若宮さんがアプリ開発を始めようと思ったきっかけは「高齢者が楽しめるアプリがなかったから」だと言います。
最初はアプリ開発は非常に難しいことからボランティアの人に開発やプログラミングをお願いしようとしたそうですが、あえて自分で作るようアドバイスを受けたのだと言います。
開発をするためにボランティアの人と連絡を取りながら少しずつ作業を進め、半年の時間をかけてようやく「hinadan」は完成しました。
若宮さんはアプリ開発以外にもシニア向けのパソコン教室など、高齢者がインターネットを積極的に使っていくための活動を今も精力的に行っています。